« 2007年03月26日 | Top2007年03月31日 »

最新記事【2007年03月30日】

 普段、私たちが何気なく使っている枕でも、快眠・安眠に適している枕と、そうでない枕があります。


 睡眠に適している枕は、体に負担がかからない状態で眠ることが出来ます。逆に悪い枕というのは、体のどこかに負担が生じてしまい、快眠・安眠を得ることが出来ません。


 そのためにはまず、体に負担がかからない状態、つまり寝姿勢とはどのような状態をさすのかを理解しておく必要があります。


 人間がまっすぐ立ったときの姿勢を横から眺めると、首から腰までの背骨はまっすぐではありません。首(頚椎)が少し前に出ており、胸(胸椎)は逆に後方へ、そして腰(腰椎)は再び前方に出ているように、背骨は首から腰にかけて緩やかな「S字」を描いています。


 この背骨の状態を睡眠中にも維持できるような枕が身体に負担のない枕の条件だとされています。さらに睡眠中は常に一定姿勢ではないため、仰向けに寝ていても、横向きに寝ていても自然な姿勢を確保できることが枕の機能として求められます。


 以下では、枕の役割、快眠・安眠に適した枕の条件(枕の高さなど)などについて、もう少し詳しく触れていきたいと思います。

枕の役割
 枕の役割は、頚椎が自然のカーブを描くように敷き寝具と頭・首の隙間を埋めることです。


枕の正しいあて方
 枕を肩口に当たるまで寄せ、後頭部から首筋の部分を枕にしっかりと受け止めさせることが大切です。頭だけを枕に乗せていると、頚椎の緩やかなカーブが安定しにくくなります。


枕の選び方

 枕の選び方で重視するポイントは、「」、「高さ」、「大きさ」、「素材」、「やわらかさ」です。

 ■「枕の形」に求められることは、どんな姿勢でも(仰向け・横向き)、首の自然なカーブが
  保てることです。頭の形に沿った立体的な形になっているかどうかが重要で、枕の中央が
  へこんでおり、首筋にあたる部分が少し高くなっていること、寝返りをうったときにも、頭部
  が支持されるよう両サイドも少し高くなっていることが理想です。

 ■「枕の高さ」は、首の長さの長短や後頭部の形、頚椎のカーブの程度、頭部の重さに
  よって一人ひとり異なります。ちょうどよい枕の高さは、仰向けになって頭をのせた時に、
  顔が真上ではなく、やや下を向くこと。つまり、顎が少し引けた状態で、額と顎を結ぶライン
  を横から見ると「5度くらい」の角度になる枕の高さが理想的だといわれています(個人差
  はありますが、頭を枕にのせて沈み込んだときの高さが、だいたい6センチくらいとされて
  います。横向きになったときは、肩の高さを考慮する必要があるため、もう少し高さが必要
  となります)。

  高すぎる枕は、首に無理な圧力がかかります。浮き上がった筋肉が一晩中緊張して血行
  が阻害されることになるため、肩こりや頭痛の原因になったり、背中の痛みや腰の痛みに
  つながることもあります。また、気道が狭くなるため、いびきの原因にもなり眠りを浅くします。

  一方、低すぎる枕は、頭が心臓より低くなり、頭に血が上って眠りを浅くします。また、顎が
  上を向くため、睡眠中の口呼吸を招きやすくなります。

  枕の高さの測り方については、『自分に合った枕の高さを測ろう』を参照ください。

 ■「枕の大きさ」も、重要なポイントです。睡眠中は一定姿勢であることはないので、寝返り
  しても頭が落ちず、肩までしっかり保温できるだけの大きさが必要です。

 ■「枕の素材」も、見逃せないポイントです。睡眠中は大脳のためにも頭を冷やすことが大切
  ですので、熱がこもらない素材・機能が求められます。つまり、通気性に優れ、汗を吸収す
  る素材が適しています。また、素材によって頭を乗せたときの感触も異なるため、寝心地を
  左右する重要な要素でもあります。

 ■「枕のやわらかさ」は、枕の素材によって左右されます。寝返りをうった時に、中の素材が
  極端に偏ってしまうと枕の高さや形が変化してしまうため、首や肩へ負担を強いてしまい
  かねません。しっかりと首を支えてくれるだけの硬さは必要です。


 枕は快適で健康的な睡眠を提供してくれる大切な寝具のうちのひとつです。枕の形をしてさえいればいいというものでもありません。ひょっとして、枕は一生ものだと思っていませんか。枕は消耗品で、悲しいかな寿命というものがあります。大切な役割である支持力の無くなった枕は、求められる機能を果たさないばかりか、安眠・快眠の妨げにもなりえます。


 枕は消耗品といえども、靴などよりかは遥かに長持ちするものです。少々お金がかかっても自分の健康のためにも、こだわりを持ちながら時間をかけて選びたいものです。専門店へ行けば、ピローフィッターと呼ばれるプロのスタッフが在中しているので、様々な視点からあなたの枕選びを助けてくれます。

 理想とされる枕の高さは人によって異なります。枕を選ぶ際、自分の感覚だけに頼ることに不安を感じる人は自分に合った枕の高さを測ってみましょう。


 枕の高さは体型によって変わってきます。つまり、太っているか、やせているのか、首が短い又は長いのか、後頭部が出っ張っているのかなどで、その人に適した枕の高さが決まります。


 枕の高さを決定する指標となるのは、「頚椎弧(けいついこ)」です。頚椎弧とは、首を支える7つの骨(第1から7頚椎)のカーブのことで、この深さに個人差があるのです。


 枕を専門に取り扱っている店では、専任のピローフィッターのいるところがあり、その人達は特製のスケールで頚椎弧を計測します。個人で測る場合のはかり方を以下に紹介します。


枕の高さの測り方
 ①一人では難しいので、二人一組になって計測します。測ってもらう人は、まずリラックス
  した状態で立ちます。そのときに3~4m先の床を見るようにします。


 ②測る人は、第7頚椎(首の付け根のゴリゴリした突起部分)の位置から垂直に手のひら
  を立てます。立てた手のひらと、くびれた首筋との隙間の一番深いところが頚椎弧の深さ
  となります。


 ③この頚椎弧の深さを測定する際は、②の状態で人差し指と中指の間に定規か割り箸を
  はさみ、その長さを読み取ります。


 ④③で読み取った長さが、その人に合った「枕の高さ」となります。

参考:『ぐっすり眠る!37の方法』狩生聖子著 (宝島新書)
    『手づくり安眠枕の本』(日本ヴォーグ社)

 枕は一日のうち何時間も頭部支える重要な役割を果たしています。その機能を維持する立役者が「枕の素材」です。


 枕の形を維持することと、睡眠中の頭寒足熱を実現することが枕には求められます。素材によって、吸湿性や通気性が異なり、また手入れのしやすさも違ってきます。それぞれの素材によって一長一短ありますので、何を選べばいいのか迷ってしまうことでしょう。機能が同程度なら、自分の好きな、快適と感じる素材の枕を選ぶこともひとつだと思います。


 最近は枕をオーダーメードできる専門店も増えてきており、自分好みの枕を手に入れることが可能です。素材はもとより、形状、大きさ、高さが指定できます。また、頭部や首部、サイド部で素材を変えることもできるなど選択の幅が広がってきています。


 以下に、枕に使われている素材(中身)の幾つかを紹介しております。枕選びの参考になれば幸いです。

■フェザー
  フェザーとは水鳥の羽毛のことです。放熱性、吸湿性、放湿性に優れており、感触が非常に
 柔らかいのが特徴です。手入れとしては、1週間に1度くらい陰干しをし、羽毛をほぐすようにし
 ていれば痛みも少なくなります。動物性素材ですので、アレルギーのある方には注意が必要
 です。(寿命:約2~3年)

■そば殻
  適度な固さがあり、吸湿性に優れ、頭が蒸れにくいのが特徴です。ただし、湿気を含みやすく
 ダニやカビが発生しやすいので、こまめに天日干しする必要があります。優れた素材ですが、
 天然素材ゆえ長持ちしないという欠点もあります。「そばがら」もアレルギーのある人には不向き
 の素材であるといえます。(寿命:約1年)

■パイプ
  ポリエチレン製のストローのような素材で「エアセル」とも呼ばれています。素材ひとつひとつ
 が空洞になっているため、通気性に優れ弾力性があります。また、丸洗いできるという特徴も
 持っています。感触としては「そばがら」に似ていますが、吸湿性に劣るという欠点があります。
 (寿命:約4~5年)

■マルコビーンズ
  通気性がよく、丸洗いのできる素材で、メンテナンス性に優れ長持ちします。感触としては
 柔らかいという特徴があります。(寿命:約4~5年)

■シンセビーズ
  ポリエチレン製で立方体の形をしており、中が空洞になっています。つぶれても復元力がある
 ため、へたりにくい素材です。また、通気性がよく丸洗いができるという特徴も持っています。
 (寿命:約4~5年)

■ヒノキ(ヒノキチップ)
  ヒノキ(檜)を小さく刻んでチップ状にした素材です。何といっても特徴は、独特の香りでしょう
 (好き嫌いがあるとは思いますが・・・・)。ヒノキの香りには、リラックス効果があるといわれて
 います。(寿命:約1年)

■備長炭
  ポリエチレン樹脂に備長炭の粉末を混ぜています。備長炭の特徴である消臭性に優れてい
 ます。

■ポリエステルの綿
  放熱性に劣るという欠点はありますが、弾力性と回復性を兼ね備えています。洗濯も可能
 です。(寿命:約2~3年)

■絹綿(シルク
  柔らかい素材で吸湿性に優れ、ほこりが立ちにくいという特徴がある一方、へたりやすいこと
 が欠点として挙げられます。時々陰干しをして、絹綿をほぐすようにしていれば痛みも少なくな
 ります。(寿命:約1~2年)

■キャメル
  らくだの毛を素材として使用しています。柔らかく吸湿性・放湿性に優れていますが、熱が
 こもりやすいという欠点があります。天日干しは可能です。(寿命:約2~3年)

■ウール(羊毛)
  羊の毛を素材として使用しています。柔らかく吸湿性・放湿性に優れていますが、熱がこもり
 やすいという欠点があります。天然素材の中では復元力があります。天日干しは可能です。
 (寿命:約2~3年)

■パンヤ
  布団などに用いられている天然の綿毛(パンヤの木の種子から採取されます)です。へたり
 が早いという特徴がありますが、天日で干すと、元のふっくらした状態に戻ります。
 (寿命:約1年)

■低反発ウレタンフォーム
  クッション性に優れていますが、吸湿性に劣るという特徴があります。頸椎のカーブにフィット
 しやすい素材です。素材が変質するため天日干しはできません。陰干しすることでメンテナンス
 を行います。(寿命:約2~3年)

■磁気
  磁気には血行を促進する効果があるとされています。一般的に他の素材との組み合わせ
 で使用されます。

■ゲルマニウム
  ゲルマニウム は、32℃以上の体温に接触すると、マイナスの自由電子が飛び出すとされて
 います。その電子の働きにより血行が促進されるといわれています。一般的に他の素材との
 組み合わせで使用されます。

■水
  いわゆる水枕(ウォーターピロー)の素材として使われるものです。頭を冷却することが最大
 の特徴です。独特の感触があるため、好みが分かれる素材でもあります。

 ここ数年、睡眠(安眠・快眠)への意識が高まってきました。枕にも多種多様なものが登場し、リラックス目的や、疲労回復、その他多様化した就寝スタイルなどにも応じることができる時代になったのです。その中から、幾つかを以下に紹介したいと思います。


■抱き枕
 抱きついて眠ることで、寝姿勢が母体の中の胎児のような姿勢になるため、精神的な安らぎを得ることができるといわれており、「ボディーピロー」とも呼ばれています。抱き枕と体、そして布団の間に隙間ができるので、夏などは涼しく感じます。また、横向きの寝姿勢が維持できるため、いびきの防止にも役立つとされています。

■ドーナツ枕
 中央がへこんだ枕の総称で、形もドーナツのような穴あきのリング型もあれば、一般的な四角い枕もあります。真ん中がへこんでいるので頭の支持性に優れ、頚椎の自然なカーブを維持しやすいといわれています。また、赤ちゃん用の商品ラインナップも多く、寝姿勢の向きぐせを少なくすということと、頭の形が崩れにくいという効果があるとされています。しかし、頭の形の変形が防げるかどうかという点においては、否定的な意見も多くあります。

■フットピロー
 足首の下に敷く枕のことです。心臓より足元を高くすることによって、血液の循環が促進されるため足のむくみや疲労を軽減することができると言われています。

■ウェストピロー
 腰部の下に敷く枕のことです。睡眠中に腰にかかる負担を軽減する効果があるとされており、腰痛の改善・予防をするための枕です。

■アイピロー
 目枕とも呼ばれています。仰向けの姿勢で目のあたり乗せて使用します。アイピローを使うことによって目元や眉間にやさしい圧力がかかり、眼精疲労の軽減と緊張の緩和に効果があるとされています。睡眠中ずっと使用するというよりは、目が疲れた時や入眠するまでの短い時間に使用する枕という位置づけです。枕の素材として冷却材やハーブなどが入っており、適度な重みがあります。

■フィンガーピロー
 足の指の間に挟んで使用する枕です。靴の中で締め付けられていた指同士を、この枕で拡げてることでストレスの解放、リラックスさせる効果があるとされています。

■ふみふみピロー
 「竹踏み」効果のある枕です。寝る前に立った姿勢で使用し、体重をかけることによって足の裏にあるツボを刺激します。

■首枕
 旅行や出張などで長時間飛行機や電車に乗っているときなどに、座ったままの姿勢でも首を安定させて眠ることのできる枕です。モバイルピローとも呼ばれます。

■パソコンピロー
 パソコンのキーボードの手前に置いて使用します。手首から前腕部分をのせることで、腕にかかる負担を軽減します。アームレストとも呼ばれます。

■その他の枕
 女性の胸を模った形の枕(「おっぱい枕」「ぱふぱふ枕」などと呼ばれており、顔を埋めることで安らぎを得ることができるといわれています)や、女性の膝を模った形の枕(「ひざまくら」などと呼ばれており、男性諸氏の憧れや願望を満足させることを目的に開発されています)などがあります。

 快眠・安眠に適した「掛け布団」の条件は、軽くてフィット感のあること、保温性に優れること、そして吸湿性ならびに放湿性に優れていることです。この条件を満たす掛け布団の素材は「羽毛」であるといわれています。そのほかに掛け布団に適した素材としては、羊毛やポリエステル綿などがあります。


 最適とされる羽毛の掛け布団。様々な価格帯のものが販売されるようになってきており、一昔に比べてそれほど高級品という感じもなくなってきました。羽毛を素材としたものを一般的に「羽毛布団」と呼んでいますが、正確には詰め物の割合で呼称が変わってきます。羽毛には「ダウン(綿羽)」と「フェザー(小羽根)」とがあり、ダウンを50%以上含んだものを「羽毛布団」、反対に50%未満しか含まれていないものを「羽根布団」と呼び区別されます。


 ダウンには保温性に優れるという特性が、またフェザーには弾力性に優れるという特性があり、これらを混ぜることで素晴らしい機能を発揮します。一般的に「ダウン」の割合の多い布団の方が高品質とされています。掛け布団の価格はダウンの割合のほか、原毛の種類や産地、加工方法、側地の素材、キルティングなど様々な要素によって左右されます。


【掛け布団の軽さ・フィット感】
 私たちは一晩の間に20回ほど寝返りをうつといわれています。つまり、寝返りをうっても体を包み込む柔らかさが必要となります。体にフィットしていると、たとえ寝返りをうっても快適な寝床内環境を維持することができます。軽すぎる布団は寝返りの度に体から外れてしまいます。また、重い掛け布団ですと体に負担をかけますし、寝返りの抵抗となって安眠を妨げる原因になりえます。軽すぎず重すぎず、適度な軽さが要求されます。


【掛け布団の保温性、吸湿性、放湿性】
 就寝中に快適な寝床内環境を保つためには、温度・湿度が一定に維持できることが望まれます。一晩に体が放出される水分(汗)を掛け布団に吸収し、吸収した汗を発散する機能が掛け布団の素材に求められます。

 寝心地のいい敷布団の条件は、「人間が立った時の脊柱の自然なカーブ」を仰向けに寝ているときに実現でき、その状態を保持できる機能を持っていることと、吸湿性ならびに放湿性に優れていること、そして、一定の保温性を保てることの3点です。そのほか、布団の出し入れのことを考慮すると、軽さもある程度必要になってくるでしょうか。


【敷布団の柔らかさと固さ】
背骨のなだらかな曲線を保持するためには、敷布団に適度な柔らかさと固さが必要になってきます。仰向けになっている時に重みのかかる頭、肩、腰をしっかり支えるだけの固さは要求されます。

敷布団が柔らかすぎると、体が沈み込んでしまうため背骨が自然なカーブを描けません。そのため、腰に負担がかかり腰痛の原因となったり、寝返りが打ちにくくなり安眠を妨げることにもなります。

逆に、敷布団が固すぎると、寝心地が悪くなるだけでなく、敷布団に接した体の面を圧迫するため血液の循環が阻害されるため安眠を妨げる原因になったりします。

最近の敷布団の主流は、上部は柔らかく、中心部は固いといった多層構造になったものです(「三層式」などと呼ばれています)。敷布団上部の柔らかさの程度は、肌に接する面だけに寝心地を左右する重要なファクターです。

また、枕同様、低反発素材のものも人気を集めています。体圧を均一に分散し、体圧が一点に集中して負担のかからないよう、体圧を均一に分散し血行を妨げにくいという特徴があります。


【敷布団の吸湿性と放湿性】
また、敷布団にも吸湿性と放湿性という機能が必要となってきます。なぜなら、私たちは眠っている間に一晩でコップ1杯ほどの汗をかくからです。特に就寝中は、背中の部分からの発汗が一番多いとされています。吸湿性と放湿性、そして保温性は寝床内環境を左右し、快適な寝心地を得るためには欠かせない条件となっています。

木綿が素材となっている敷布団は吸湿性に優れている反面、放湿性に劣るという特徴があります。したがって、定期的に天日干しして吸収した汗を発散させるなどの手入れを意識しておく必要があります。一方、ウール(羊毛)については、保温性に優れているだけでなく、吸湿性と放湿性を兼ね備えた素材であり、さらにほこりを寄せ付けにくいなど敷布団に適している素材とされています。


寝ている間に私たちの体重をしっかりと支えてくれる敷布団。特に腰部には身体全体の約44%の体圧がかかっているといわれています。長く使用していると腰部にあたる部分がへたってきますので、定期的に脚側と頭側とを逆にするなど長持ちするよう心がけたいものです。

 寝床内環境は「寝床内気象」とも呼ばれており、寝ているときの布団のなかの環境のことをいいます。つまり、掛け布団と敷布団の間の空間の状態、具体的には温度と湿度をさす言葉として使われ、快眠のためには欠かせない要素となっています。


 私たちが就床すると、寝床内の気温は体温によって次第に上昇していきますが、ある温度以上には上がらない状態になります。これは、皮膚から発散される熱量と寝具から放出される熱量との間でバランスが保たれるからです。このときの温度を寝床内気温と呼んでいます。この温度が就寝中の体温を超えるようなものだと汗をかきます。


 一方、私たちは睡眠中に汗や皮膚呼吸を通じて体外へ水分は排出させています。これらの湿気は、掛け布団や敷布団に吸収されます。したがって、寝具には透過性の機能を有している必要があります。汗などの湿気でムンムンしているような寝床では快適な睡眠は得られません。つまり不快を感じないような一定の湿度に保たれていることが望ましいわけです。


 最適な寝床内気象は、温度33℃±1℃(寝床内気温)、湿度50%±5%(寝床内湿度)とされています。


 この快適な寝床内気象を1年通じて保つためには、掛け布団敷布団が優れた機能(保温性、吸湿性、放湿性)を持っていることと、以下のように季節や室温に応じて寝具の組み合わせを適宜替えていくことが必要になってきます。


【室温による掛け布団の組み合わせ例】

  ■室温5℃前後
   羽毛肌掛け布団、羽毛掛け布団、ウール毛布

  ■室温10℃前後
   羽毛掛け布団、ウール毛布(または綿毛布)

  ■室温20℃前後
   羽毛掛け布団

  ■室温25℃前後
   羽毛肌掛け布団

  ■室温25℃以上
   綿毛布またはタオルケット

 (参考:『保存版 快眠・安眠できる本』(あすか書房))
 (参考:『超「快眠」法』三輪恵美子著(成美文庫))

 寝床内の湿度を調整するには、「タオルケット」や「綿毛布」が便利です。これらは素材が綿であるため、吸湿性に優れているため汗などの水分を吸収し快適な寝床内環境をつくることができます。また、手軽に洗濯することができるなど取り扱い性にも秀でています。夏場だけでなく冬場も積極的に使用したい寝具のうちのひとつです。

 何日もの間、掛け布団などの寝具に吸収された汗を放出させるためには、定期的に天日干しをする必要があります。太陽の光によって殺菌の効果も同時に期待できます(風通しのよい場所で陰干しするのも可)。ただし、長時間干しすぎると(特に夏場の場合)、素材を痛めてしまう原因になってしまうことと、布団の中に熱がこもってしまい、夜間の寝苦しさに繋がる可能性があります。


 布団干しに最適な時間帯は、午前10時から午後2時くらいの間(これ以外の時間帯では逆に湿気が布団に吸収されてしまう)とされており、この間の1時間ほどの天日干しで十分湿気を取り除くことが可能です。また、天気のよくない日や梅雨など天候の不安定な時期には、布団乾燥機を使用するという方法もありまし、扇風機を使用したり、たとえ室内であっても、風通しのよい窓のそばで椅子などの背もたれに掛けておくだけでも湿気を取り除く効果があります。


 それから、布団叩きで叩きまくる様子をよく見かけますが、それは絶対してはいけないこととされています。羽毛布団の場合、ほこりを吸収しないため意味がないことです。そして羽毛であるないに関わらず、何よりも詰め物である綿や生地が切れてしまい、布団の寿命を縮めてしまう可能性があります。布団叩きを使用するのはタブーであると理解しておきましょう。


 そのほか、気をつけたいところは布団カバー、シーツ、枕カバーなどの取り扱いです。寝具に直接汚れが付着するのを防ぐ役割だけでなく、汗などを吸収してくれる大切な役割を持っています。これらは家庭で丸洗いできるものですので、頻繁に洗濯して清潔な状態を保ちたいものです。


 寝具はかさ張るものだけに手入れが大変だという側面もありますが、一生のうちの約3分の1は寝床にいることを考えると、寝具に対する考え方、手入れやメンテナンスについてもう少し配慮していく必要があるのではないでしょうか。

 寝具である寝間着やパジャマに着替えず、ジャージやスウェットなどの室内着のまま眠る人が意外に多いのではないでしょうか。


 一般的に、ジャージやスウェットなどの室内着は快適な睡眠を得るためには不向きとされています。ジャージの本来の目的は運動するための服であり、丈夫であることと外気に触れても体温の放出を防ぐ機能を持っています。そのため生地が厚くできており、寝間着やパジャマの代用としては適していません。


 厚手の布地が寝返りを妨げたり、必要上に熱がこもることになるため、快適な睡眠を得にくいのです。睡眠のことを考えるのなら、たとえ冬場でも寝間着には薄手のものが適しています。


 寝間着に求められる機能は、「吸湿性」と「運動性」です。就寝中にしっかり汗を吸収してくれることと、不必要に体を締め付けず、自然な寝返り・体の動きを束縛しないことが重視されます。


 上記の視点で、自分好みの寝間着・パジャマを選ぶとよいと思いますが、その際にサイズや材質にも気を配りたいところです。サイズとしては、上半身の動きが妨げられないよう、ある程度ゆったりしたものを選択したいものです。だからといって、大きすぎたり長すぎたりするものは逆に体にまとわりつくので好ましくありません。襟元が詰まったものやウエストのゴムがきついものは、体を圧迫するので安眠を妨げる一要因となります。一方、素材としては吸湿性に優れ洗濯にも耐える「綿」や、独特の肌触りのよさと吸湿性・放湿性ともに優れた「シルク(絹)」が適しているといえるでしょう。


 ジャージやトレーナー、スウェットなどは、室内着としてリラックスできる服ではあります。しかし、寝る際に寝間着やパジャマに着替える行為は「入眠儀式」としても非常に意味のあることです。面倒くさがらずに、今日から寝間着やパジャマに着替えてみることを習慣にしてみませんか。きっと安らかな眠りや快適な眠りが訪れることと思います。

 寝具ほどではないにせよ、寝室環境、睡眠環境が「眠り」に与える影響には大きなものがあります。寝室の環境を整え、落ち着いた空間づくりが可能になるならば、その環境はあなたをきっと快眠の世界へと誘ってくれることでしょう。


 寝室環境と一言でいっても、様々な要素で成り立っています。考えられる要素としては、まず「寝室(の広さ)」そのものに始まり、「室温」、「湿度」、「照明の明るさ」、「音」、「香り」などに至るまで多くのものがあります。全てを満足する寝室づくりはできないにしても、このうちの一要素でも工夫することによって、安眠できて快適な状態や睡眠空間が得られるならば、取り組んでみる価値があるのではないでしょうか。寝室は、ただ寝るだけの場所ではないかもしれません。


【寝室の広さ】
  その人の住んでいる、または住むことができる住環境にもよりますが、寝室は広くても狭くても眠りやすさに影響を与えるものです。

  一人で眠るか複数人で眠るかで異なってきますが、睡眠に適した空間という視点で考える場合、ある程度のゆとりが必要です。布団の場合、大人一人あたり畳3枚分のスペースは欲しいところです。家具などを置くことも考慮に入れると、夫婦の寝室で8畳は必要と思われます。

  ベッドの場合、シングルベッドで6畳、ツインで10畳といわれています。これは必要最小限の家具などのスペースも考慮した値です。ベッドの快適性や機能性は万人が認めるところですが、思った以上に空間を占有する寝具でもあります。

  一方、広すぎる寝室を考えた場合どうでしょうか。必要以上の広さは、精神的に落ち着きの無さを生じさせます。ある程度の囲まれ感がないと落ち着かないという人が意外と多いものです。この場合、ベッドや布団周りに衝立てや背の低い家具などをうまくアレンジして工夫すれば、心地よい空間づくりができるかもしれません。


【寝室の室温】
  最近はエアコンの普及率も高くなり、各部屋冷暖房完備といった居住環境も珍しくなくなってきました。

  睡眠に快適とされる室温は、夏場と冬場で異なってきます。

  夏場の場合、入眠に適した室温は26℃から28℃とされています。冷房を使用する際は、一晩中使用することがないよう注意したいものです。体が冷えすぎて体調を崩す原因となったり、翌朝体がだるいなどの症状が現れかねません。タイマーを有効利用して、寝入りばなの2時間程冷房を使うようにしたいところです。また、冷房の冷たさが苦手という人は扇風機を使用するのも手です。この場合もタイマーをセットして短時間、頭側か足元側から微風を送ってやれば快適です。しかし、いずれの場合も、直接風が体に当たらないよう工夫が必要です(汗をかいた皮膚に風が当たると、蒸発する際に必要以上に体温を奪ってしまうからです)。

  一方、冬場の場合は、入眠に適した室温は18℃から23℃とされています。暖房を使用する場合は、就寝の1、2時間前から寝室を暖めておくとよいでしょう。暖房も長時間使用すると空気が乾燥しすぎてしまい、のどを痛めたり風邪の原因にもなりえますのでタイマー機能を有効に使用したいものです。また、空気の乾燥を防ぐために、加湿器を利用したり、寝室に湿った洗濯物を干しておくという工夫の仕方もあります。


【寝室の湿度】
  寝室の快適な湿度は、約50%といわれています。この50%という湿度、冬場は維持しやすいのですが、熱帯夜が続く夏場などの場合実現するのも容易ではありません。こういったときは、エアコンの除湿機能を使用することが好ましいといえます。「冷風にせずに除湿モードにする」、必要以上に温度も下がらず、かつ湿度も下げることができ、快適な睡眠を約束してくれる便利な機能です。


この項では、寝室環境、特に「寝室の広さ」、「寝室の温度」、「寝室の湿度」について触れました。その他の寝室環境に関わる要素については、よろしければ『快眠・安眠と寝室環境②』を参照ください。

  眠りに影響を与える寝室環境・睡眠環境の要素のうち、「照明の明るさ」、「音」、「香り」について触れていきたいと思います。


【寝室の照明】
  照明には色々の種類があります。その代表は、「蛍光灯」と「白熱灯」です。一般家庭では、その明るさと経済性から蛍光灯を使用していることが多いと思います。

  蛍光灯は昼間の太陽の光に近く、仕事や食事をするなどの状況には適した青白い照明で、脳を覚醒させる効果があります。一方、白熱灯は夕陽の光に近く、温かみのあるオレンジががった照明で、気持ちを落ち着かせる効果があるとされています。このように人間の心理状態に、光(強弱と色合い)の与える影響には大きいものがあります。

  このように昂ぶった気持ちを静める効果があり、睡眠体勢に入るのに適した白熱灯ですが、寝室の照明を全て白熱灯に変えるのは経済性から考えても躊躇することと思います。その場合、補助照明、つまり間接照明として白熱灯のスタンドなどを導入してはいかがでしょうか。

  寝室に入ったら蛍光灯を消し、白熱灯に切り替える。適度な暗さと温もりのある光。その光が寝室全体に微妙な陰影をつくりだし気持ちを落ち着けてくれることでしょう。このような状態で、しばらく物思いに耽っていると以外に早く眠りが訪れてくれるかもしれません。


【寝室の音】
  私たちが暮らしているこの世界に無音の状態はありえません。周囲全てが何がしかの音に満ちています。日中気にならない音であっても、眠れない夜に耳に入ってくると気になって入眠を妨げることがあります。

  例えば、最近では少なくなりましたが、時計の秒針が刻む「コチコチ」とした音も場合によってはうるさく感じることがあるでしょう。寝室にはアナログの時計を置かないほうが無難といえます。

  安眠を妨げない騒音のレベルとしては、30デシベル(静かな散歩道で木の葉が風にゆれる音程度)以内とされています。家の中の音だけでなく、外界からの音も侵入してくることを考えると、この騒音レベル以下の寝室環境を獲得することは容易なことではないかもしれません。

  家の中の音が気になって眠れない場合は、音の根本を解決する必要があります。寝室近くに設置してある家電製品等の作動音が原因なら、配置を変えることも必要かもしれません。また、配置を換えないまでも防音材、吸音材、遮音材などを音の発生源周りに工夫することによって、かなりの音を防ぐことが可能になる場合もあります。簡単なリフォーム程度ならコスト的にも安くつくこともありますので、専門家に相談することも一方法かもしれません。

  一方、別の手段としては「耳栓」を使用するという方法もあります。旅行グッズを扱っているお店やドラッグストアなどで様々な種類のものを取り扱っています。遮音性に優れ、耳に入れても違和感の少ないものもあります。投資額もリフォームに比べると少なくすむので、試してみる価値があるのではないでしょうか。


【寝室の香り】
  香りが精神の状態に影響を及ぼすことは、「アロマテラピー」が普及したこともあって広く知られるようになりました。

  ハーブの中には、その鎮静作用から「不眠」に効果的とされるものもあります。またお香には疲労回復、睡眠作用、精神安定などの作用があります。ただし、きつい匂いや自分に合わない匂いは却って不快な気分になり逆効果ですので、香りは慎重に選ぶ必要があります。

  西洋や和のアロマテラピーによらずとも、植物の香りで癒される人もいるでしょう。実際、キンモクセイやキョウチクトウ、アイリス、カスミ草、トルコキキョウの花などの香りは不眠症や精神安定に効果があると言われています。植物の香りは、それ自体きついものではありませんし、寝室に彩りをそえることにもなります。殺風景な寝室をやわらかな雰囲気にし、きっと気持ちが落ち着くことでしょう。

  ただし、香りは個人の好みが分かれる要素です。パートナーがいる場合は、よく相談のうえ導入されることをお勧めします。


快眠・安眠と寝室環境①』では、寝室環境の要素のうち、「寝室の広さ」「寝室の温度」「寝室の湿度」について触れています。よろしければ、参照ください。

 入浴の効果には、様々なものがあります。血流を促すことによる健康の増進や清潔の維持、はたまたリラックス作用などなど・・・・。


 現代社会はストレス社会ともいわれています。不眠の原因の大きなところはストレスと無縁ではありません。入浴には、このストレスを軽減する効果があります。


 お湯の持つ「浮力」「圧力」「温度」の3つのパワーがストレス解消のために働いてくれます。


 お湯のもつ「浮力」よって、湯船の中では体重は何分の一かになります。そのことにより全身の筋肉の緊張が和らぎ、気持ちに安らぎを与えてくれます。


 また、お湯の持つ「圧力」が、湯船に浸かっている私たちの体全身をマッサージしてくれることになるのです。この水圧によるマッサージが血液の循環をよくし新陳代謝を促します。


 さらに、お湯の持つ「温度」。この温度が血行促進に働いてくれるだけでなく、自律神経にも作用します。熱いお湯では交感神経が刺激されて優位になり、またぬるめのお湯では副交感神経が優位となって、昂ぶった気持ちを落ち着けるよう働いてくれるのです。


 このように私たちをストレスから解放してくれる「入浴の効果」。仕事で夜遅く疲れて帰宅し、お酒を飲みながら食事。そのまま倒れるように布団に潜り込み、翌朝熱いシャワーを浴びて再び出社。このような毎日を繰り返していませんか。入浴することによるストレス解消効果は、お酒を飲むことの比ではありません。また、安眠・快眠にも貢献してくれるのです。疲れた体に鞭打って、寝る前にバスタイム。この貴重な時間が、多くのものあなたにをもたらし、明日への活力を与えてくれるに違いありません。

 入浴には体の汚れを落とし、一日の疲労を癒すリラックス効果のほかに、安眠を誘う効果があります。ただし、入浴温度入浴時間によっては、逆効果になる場合もあるので注意が必要です。


 睡眠を誘うには、ぬるめの湯温の方が適しています。一般的に、お風呂の温度は42℃くらいと言われていますが、この温度では高すぎます。


 快眠には、38℃から40℃くらいのぬるめのお湯に、20分から30分ほど浸かることがよいとされています。


 ここで、入浴によって体を温めることが快眠へとつながる理由を理解するために、自律神経の機能について説明したいと思います。私たち人間の自律神経は「交感神経」と「副交感神経」から成り立っています。そして、自分の意志とは無関係に、状況に応じてどちらかの機能が優位になるなど常にバランスをとって働いています。


 交感神経が優位になると心身ともに臨戦態勢に入ります。血圧と体温が上昇し、脈拍・呼吸数ともに多くなり、精神的には緊張状態になります。反対に副交感神経が優位になると、心身ともにリラックスし、血圧と体温も低下し、脈拍・呼吸数ともに少なくなります。つまり、入眠体勢に入るには副交感神経が優位になっている必要があり、お湯の温度によって、どちらの神経系が優位になるかが変わってきます。


 熱い湯は、その熱さがストレスとなるため、交感神経の働きを活性化して覚醒状態をもたらします。それに対し、ぬるめのお湯に比較的長い時間浸かることは、体の深部がゆっくりと温められるため、血液の循環が程よく活性化され、昂ぶった神経を沈めてくれます。このように副交感神経が優位になるため、安眠効果が期待できるのです。


 入眠を促進するためには、脳や内臓の温度、つまり深部体温を下げる必要があります。これは一見、、ぬるめのお湯といえども入浴して体を温めることと相反するようにみえます。上がりすぎた体温を下げるのには時間を要しますが、ぬるめのお湯に浸かって適度に体温が上昇した場合は、かえってそれを下げようとする作用が強く働きます。


 もともと体温は夕方頃にそのピークを迎え、それ以降時間とともに徐々に下がっていきます。この自然な体温低下の生理的リズムと、ぬるめの入浴によって上がった体温を下げようとする働きとの相乗作用によって急速に体温が下がるのです。このような理由から、快眠へと誘うにほ、ぬるめのお湯にゆっくりと浸かることが効果的になるのです。

 入浴する時間帯にも「睡眠」に適した時間帯というものがあります。


 仕事から帰ってくれば、夕食前に一風呂あびてさっぱりしたいところです。しかし、寝るまでに時間がある場合、入浴によってせっかく下がった深部体温も時間の経過とともに元にもどってしまいます(入浴による深部体温の低下のメカニズムについては、『安眠に効果的な入浴温度と時間』を参照ください)。また、冬場など、体の保温に気をつけないと湯冷めによって風邪などの体調不良に繋がっていく可能性もあります。


 また、どうしても熱いお風呂に入る方が好きだという方もおられるでしょう。そのような方の場合、入浴する時間を寝る前の2~3時間前に設定すれば、快眠を妨げることはないでしょう。


 一方、夕食直後の入浴は避けた方が望ましく、入るとすれば食後1時間以上は時間を空けたいところです。なぜなら、食後は食べたものを消化をするために内臓に血液が集まっています。この食べ物を消化しているときは副交感神経が優位になっており、リラックスしている状態なのです。食後の入浴は、せっかく消化管に集まった血液を逆に全身にまわってしまうことになり、交感神経が優位になってしまうのです。


 眠りのモードに入るためには、脳や内臓の温度、つまり深部体温が下っている必要があります。大切なのは、体温が下がろうとするタイミングを逃さず床に入ることです。このタイミングは、ゆっくりとぬるめの湯に浸り、入浴後30分以内(遅くとも1時間以内)に就床できるような時間帯のことです。したがって、快眠を得るうえでも効果的なのは、寝る前に入浴し、あまり時間を空けずに床に就くことなのです。

 シャワーの簡便さには捨てがたい魅力があります。とくに夏場には、短時間で爽快感を得ることができるため、わざわざ湯船に浸かる人は少ないのではないでしょうか。


 しかし、シャワーには汗や体の汚れを落とす効果や体表面を温める効果はあっても、体の深部を温める効果は少ないのです。副交感神経を優位にし、リラックスした心身の状態になるには体の芯までゆうくりと温めてやる必要があります。


 では、シャワーでは安眠の効果はえられないということなのでしょうか。いえ、決してそうではありません。本来なら、ぬるめのお湯にゆっくり浸かる方が快眠効果は大きいのですが、たとえシャワーであっても効果的な使い方があります。


 熱い湯のシャワーは刺激が強く、交感神経の働きが活性化されるため、覚醒作用が強くなってしまいます(朝、シャキッと目覚めさせるには最適ですが・・・)。シャワーを使用する場合も、湯船に浸かるときと同じように、ややぬるめの温度に設定します。さらに水圧は強く。たとえぬるい湯であっても、強い水圧はマッサージ作用があるため、全身の血行促進につなげることができます。体表面の血流が活発になることによって、脳や内臓の体温を下げることが可能となり、安眠効果が期待できるというわけなのです。

 足が冷えきって眠れないときや、何らかの事情で入浴できないとき、時間がないときなどに、足を温める「足浴」だけでも安眠効果が期待できます。


 通常、眠くなると手足が自然と温かくなります。これは手足の血管が拡張し、眠るための準備を整えているからだといわれています。手足に血液を集めることで、そこから体温を逃がし、体の深部体温を下げているのだと考えられています。足浴はこの状態を意図的につくりだしてやることができるのです。このときに同時に手の方も温めるようにすると更に効果的です。


 洗面器やバケツなどの容器に少し熱めのお湯、40~42℃くらいのお湯をはり、くるぶしあたりまでお湯の中に浸します。時間は約10分ほど。そのときさらに塩をひとつまみ入れておくと、血行促進効果が強くなります。また、アロマ用のエッセンシャルオイル(精油)を数滴垂らして、リラックス気分を味わうのもよいでしょう。

  
 また、足には重要なツボが集中しています。眠りやリラックスに効果があるとされるツボもあります。足浴することでその部分の血流もよくなりますのでマッサージするのに近い効果も得ることができます。

快眠への扉

「快眠」や「安眠」。不眠解消を切実に願う人にとっては甘美な言葉です。約5人に1人が睡眠に悩みを抱えているという現代社会。快眠について一緒に考えていきませんか?